大相撲が野球賭博やら八百長問題やらでボコボコにされています。相撲を見ながらお酒を呑みたい私は、
「そんなことあってもなくてもどうでも良いから、早くテレビ中継を再開してくれ」と思っていました。
最近何でもそうですが、ここにも許容の無い社会が見えます。マージャン、ゴルフ、パチンコなどで
しょっちゅう勝った負けたとやっているご立派な皆さんが、なぜあんなに大相撲だけを責めたのでしょう。
「金額が違う」と言われる方もいらっしゃいますが、収入が違えば千円スルのも、10万スルのも同じかも
しれません。賭金の多寡は感覚の問題で、月の小遣いが1万円のひとと100万円のひとでは賭金も違って
当たり前でしょう。八百長だって、「神事」として行われてきた歴史を考えれば、出来レースに違和感が
少ない業界なのかもしれません。「こっちが勝てば今年は豊作、向こうが勝てば凶作」なんて奉納相撲
もあったかもしれませんからね。ひょっとしたら、怒っている人は賭けて負けた人なのかもしれませんね。
ちょっとお酒が廻ったか、意地悪すぎますか。こういうのを「使酒罵座」というらしい。
木村さんは私が知っている限り、ずっと相撲の作品を描いており、銀座では柴田悦子画廊でグループ展に
参加したり個展を開いています。けれど、いままでは正直なところ、テーマは面白いものの細かな個所が
気になっていました。どうもお相撲さんの「座り」が悪い。これはお相撲さんとしては大問題なはずで(笑)、
そんなお相撲さんは勝ち越せるはずがありません。やはり重心がしっかりしていなければ。
今回の作品は、見せ場はあくまでも「迫力」ですが、だいぶ重心が下がって強そうなお相撲さんになりました。
訊いてみると、好きが昂じて、相撲教室に通い始めたとのこと。なるほど、腰の位置とか、腕の角度だとか、
やってみて解ることって、多いのでしょうね。これも、写生のひとつの形でしょう。
異形M200 通りからも良く見えるので、通行人も立ち止まって「何だ?」と覗きこんでいました。
260pもあれば、皆さん驚きます。「把瑠都だ〜!」
「下から仰ぐと迫力ありますよ」と教えられ、どれどれとやってみました。コワイ。
全体から受けるオーラのような雰囲気も、現場を知っている木村さんならではなのでしょう。
こんな可愛いヤツもありました。展覧会タイトルの「羽黒部屋」は羽黒洞木村東助から持ってきたもので、
その昔問題を起こした「双羽黒」とは無関係。あ〜あ、早く七月場所始まらないかな〜。
阪神も楽天も今年はダメそうだから、あとは相撲だよなぁ。大相撲を見ながらお酒を呑むのって、ジジくさい?
●ミクロの世界にマクロを見る
展覧会名:末永敏明作品展-大地と水のものがたり-
会場:そごう横浜店
会期:2011年5月31日〜6月6日
中学生のころだったか、原子核のまわりを電子が廻っている原子のモデル(概念図?正確な名称は解りません。
素人でスミマセン)を教科書で知った時、「太陽系みたい」と、漠然と思った記憶があります。「ひょっとして、
太陽系もなにかの原子で、逆に身体の細胞の中にも太陽系のような世界があったりして……」。
こっぱずかしい話ですが、まぁ、夢見がちな少年だったのでしょう(笑)。
末永さんの作品は、まさにそんな世界です。ミクロかと思えば、こんどはぐっと引いてマクロになる。
海に浮かぶ島を抽象化したかと思えば、いつのまにか島は宇宙に浮かぶ星になって、星だと思っていたら実は
花粉だった……?「なんのことやら」ですが、末永さんが制作している作品は、このように相互関係をもっ
た宇宙観、生命観を表現したものなのではないのかと思っています。「花は自然で、自然は星で、星は宇宙で、
宇宙は花」。会場で、地震の話から原発依存からの脱却の道筋などの話となりましたが、どうやら最近は植物の
生態に興味を持っているようでした。末永さんは、現在山形芸術工科大学の准教授として山形で生活しています
ので、そんな環境もテーマに影響を与えているのかなと思います。
これは「島」の抽象化って感じでしょ?
島の塊が海に浮いているのか、宇宙に浮いているのか?
ちなみにタイトルは「Eine Naturgeschichte-2」(ある自然の物語)。
彼の作品タイトルはほとんどがドイツ語。ドイツ留学時代、多くの示唆を受けたとのこと。
もっと離れてみたら、花の花粉でした。
明るくて楽しげな会場風景。毎回、個展には奥様が同行されています。
●みんなおしゃれになりました
展覧会名:渺渺(びょうびょう)展
会場:東京銀座画廊・美術館
会期:2011年6月7日〜6月12日
このページで既に2回ほど紹介していますので、細かい事は置いといて、今回は11回目。
参加者は、青木惠、青木志子、朝倉隆文、池田真理子、伊東正次、岩田壮平、鵜飼義丈、金子絵里、
木下めいこ、清見佳奈子、佐伯千尋、櫻井伸浩、佐藤陽子、清水研二朗、清水航、たなかなみこ、棚町宜弘、
野田夕希、服部泰一、平野美加、廣瀬佐紀子、松崎十朗、三浦弘、水野寛奈、南聡、森美樹、行近壮之助、
吉岡順一、吉田千恵。29名。
全体の印象は、おしゃれになった感じです。重さよりも構図のクリア感を優先したのかもしれません。
たとえば、鵜飼君の屏風は評価されるべきだと思いますし、青木志子さんの藤棚は安定してきたと思いますし、
岩田君の安定感はもはや安心感です。ただ、へそ曲がりかもしれませんが、もっとごつごつ描く作家が多くても
いいかなという気もするのは確かです。そんな意味も含め、伊東の構成力、鵜飼の大胆さ、佐藤の気だるさ、
廣瀬の俯瞰による視野、三浦のエネルギー、行近の物語性は記憶に残りました。なんだかんだ言って、こうして
面白い作品が毎回出てくるのだから、やっぱりこの企画は面白いですね。
※出品者の有志がYouTubeをアップしています。
色々な事情で出演者が少ないのが残念ですが、展示全体の雰囲気はご理解いただけるかと思います。
近代まで日本画が持っていたデザイン性とか、デフォルメを重視したと思われます。私は高く評価したい。
動画ではよく判らなかったかも知れません。かなり細かな描き込みが得意な作家。
大地が持つエネルギーとか、削られてゆく土地の形の面白さ、人工物と自然の共生などに注目しているようです。
今回は視点がいいし、マティエールに存在感があります。
私が気がついたときからずっとこのテーマです。カオスというか、迫ってくるエネルギーが独特。
今週の日常:
「散歩その2」
前回野川の桑の実について書いたら、その後が気になってしょうがなくなり、2回ほど様子を見に行きました。まったく、自分の原稿に自分でハマって、どうすんだ!
第一回は6月1日。おお、予想通り、というか、心配していたような事もなく、色づいた桑の実がたくさんなっています。というのは、早めに梅雨入りして数日間、ちょうど色づいた頃に野川が増水していましたから、「ひょっとして落ちちゃったかな?」と思っていたのです。この日は一時間ほどで写真のように収穫できました。
第二回は6月5日。前回目をつけておいた対岸の桑に行って、思わず興奮。「すげ〜」。収穫量も前回の倍ほど。残念ながら半分以上が川の水面の上に伸びた枝に付いていましたが、それでも3人家族が楽しむには充分な量が採れました。これはジャムモドキにして、現在少しずつ楽しんでおります。
ジャムモドキと書いたのには理由があって、この桑の実をお裾分けした、パンやジャムを作るのが趣味という女性(私は彼女を“ジャムおばさん”と呼んでいます)がいうには、「ジャムにするには水気が少ない」のだそうです。ほかの材料と同じように砂糖で煮ると、どんどん水気が飛んでカラ炊きみたいになっちゃうそうで(我が家もそうなりました)、彼女はこのジャムモドキをパン生地に練り込んで、パンを焼いたそうです。ちょっとだけ頂きましたが、プチプチ感がたまらない。我が家にはそんな技術はありませんから、おとなしくジャムモドキをクラッカーや買ったパンに塗ったり、先述のようにヨーグルトに入れて楽しんでいる訳です。
ほぼ一時間の収穫。前回、「毎年必ず実をつける訳ではない」と書きましたが、本来雌雄異株だけれども、
一部同株もあるそうです。今年は「雌」になった桑も多かったということか?
まるまるとした桑の実。このくらいだと、生で食べても充分おいしい。
どうです?畑じゃないよ!
驚いたことに、ネットで桑の実を売っている人がいました。ドライフルーツにしていますが、結構立派なお値段。ドライフルーツなら、洋酒の肴になりそうですね。
近所のヤマモモも何年かぶりに実をつけていました。こいつは手間がかかる割に食べるところが少なく(実の大きさに比して核が大きい)、オマケにちょっと樹脂の匂い(?)がキツイ。紫になったら食べられます。