展覧会名:第45回昭和会展
会場:日動画廊
会期:2010年1月29日〜2月8日
昭和会展というのは、日動画廊主催の、絵画・彫刻を対象としたコンクール展。あちこちの企業が美術から撤退している今となっては、貴重な存在。出品に年齢制限があり、現在は応募時点で絵画35歳以下、彫刻で40歳以下となっている。私見(ぜんぶそうですが)だけれども、古いことはもちろん知らないけれど、少なくともここ20年くらい、あまり流行りに左右されないというか、もてはやされ系の作家は受賞していないように思える。たとえば、このところ何年もきれいな写実作品を描く作家ばかりがあちこちでクローズアップされているけれど、昭和会の最高賞・昭和会賞受賞者は、記録をみてみると41回の小木曽誠さんくらいかな?日動火災賞だと、石黒賢一郎(34回)、山本雄三(37回)さんの受賞がみえます。いわゆるコンテンポラリー系も、そうそう幅を利かせているわけでもありません。
今回昭和会賞を受賞した仁戸田典子(にえだ・のりこ)さんは‘86年佐賀県生まれで、佐賀大学在学中。小木曽さんの教え子だそうだけれど、作風は全く違います。小木曽さんはそのとおり白日会的(実際に白日会会員)だけれども、彼女は二紀会的(無所属だから早とちりしないでね)といえば判りやすいか?細かい描き込みで幻想世界を表現しているところが遠藤彰子さんっぽい。パワーが好きな人は遠藤さんの方が好きだろうけれど、仁戸田さんの収まり感が好きな人もいるでしょう。きけば、いままで東京での発表はグループ展2回だけ。ほんとに、まだまだこれからです。いろいろ難しいと思うけれども、できれば銀座で個展が毎年見られるように頑張ってほしいものです。それによって、どんどん作品が磨かれますから。もちろん、彼女に限ったことではないですよ。
レセプションでの審査所感で、審査員の入江観さんが、「物質感をどう捉えるかが、最近の作家の問題」という趣旨の話をされていました。ここでこんな話もなんですが、ネットは便利ですけれど、やっぱり作家はもっと実体験を増やさないといけないんだろうな。(写真提供:日動画廊)
仁戸田典子「十をめぐる旅」油彩50S 昭和会賞(写真提供:日動画廊)
白石恵理「pulsation」FRP,145×40×60 優秀賞(写真提供:日動画廊)
角谷心平「丘の上の透明な光のイメージ」ミクストメディア50S 松村謙三賞
(写真提供:日動画廊)
砂川啓介「Re,ER」油彩50s 東京海上日動賞(写真提供:日動画廊)
今年の受賞作品をざっと見渡すと、それぞれ傾向が違うので、バランスに配慮したのかなと思います。
今週の標語:「酒の上の約束は果たそう」
もう何年前だろう?当時の同僚と呑みながら、「酒の上での約束ってよくいうけれど、それでも、いや、だからこそ守る。それがホントの酒呑みだぁ〜。」と気勢をあげたことがありました。そんなことを思い出しながらこの原稿を書いています。ああ。